Bible Search| Advanced Search | Passage Lookup | Read the Bible

Bible Book - INDEX

JAPANESE 文語訳聖書(旧約 明治訳 / 新約 大正改訳 合本)

[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14][15][16]

Mark
Chapter 14

14:1 さて過越と除酵との祭の二日 前となりぬ。祭司長・學者ら詭計をもてイエスを捕へ、かつ殺さんと企てて言ふ"

14:2 『祭の間は爲すべからず、恐らくは民の亂あるべし』"

14:3 イエス、ベタニヤに在して、癩病人シモンの家にて食事の席につき居給ふとき、或 女、價 高き混なきナルドの香 油の入りたる石膏の壺を持ち來り、その壺を毀ちてイエスの首に注ぎたり。"

14:4 ある人々、憤ほりて互に言ふ『なに故かく濫に油を費すか、"

14:5 この油を三 百デナリ餘に賣りて、貧しき者に施すことを得たりしものを』而して甚く女を咎む。"

14:6 イエス言ひ給ふ『その爲すに任せよ、何ぞこの女を惱すか、我に善き事をなせり。"

14:7 貧しき者は常に汝らと偕にをれば、何時にても心のままに助け得べし、されど我は常に汝らと偕にをらず。"

14:8 此の女は、なし得る限をなして、我が體に香 油をそそぎ、あらかじめ葬りの備をなせり。"

14:9 まことに汝らに告ぐ、全世界いづこにても、福音の宣傅へらるる處には、この女の爲しし事も記念として語らるべし』"

14:10 ここに十二 弟子の一人なるイスカリオテのユダ、イエスを賣らんとて祭司長の許にゆく。"

14:11 彼 等これを聞きて喜び、銀を與へんと約したれば、ユダ如何にしてか機 好くイエスを付さんと謀る。"

14:12 除酵祭の初の日、即ち過越の羔羊を屠るべき日、弟子たちイエスに言ふ『過越の食をなし給ふために、我らが何處に往きて備ふることを望み給ふか』"

14:13 イエス二人の弟子を遣さんとして言ひたまふ『都に往け、然らば水をいれたる瓶を持つ人、なんぢらに遇ふべし。之に從ひ往き、"

14:14 その入る所の家主に「師いふ、われ弟子らと共に過越の食をなすべき座敷は何處なるか」と言へ。"

14:15 さらば調へ備へたる大なる二階 座敷を見すべし。其處に我らのために備へよ』"

14:16 弟子たち出で往きて都に入り、イエスの言ひ給ひし如くなるを見て、過越の設備をなせり。"

14:17 日 暮れてイエス十二 弟子とともに往き、"

14:18 みな席に就きて食するとき言ひ給ふ『まことに汝らに告ぐ、我と共に食する汝らの中の一人、われを賣らん』"

14:19 弟子たち憂ひて一人 一人『われなるか』と言ひ出でしに、"

14:20 イエス言ひたまふ『十二のうちの一人にて、我と共にパンを鉢に浸す者は夫なり。"

14:21 實に人の子は己に就きて録されたる如く逝くなり。されど人の子を賣る者は禍害なるかな、その人は生れざりし方よかりしものを』"

14:22 彼ら食しをる時、イエス、パンを取り、祝してさき、弟子たちに與へて言ひたまふ『取れ、これは我が體なり』"

14:23 また酒杯を取り、謝して彼らに與へ給へば、皆この酒杯より飮めり。"

14:24 また言ひ給ふ『これは契約の我が血、おほくの人の爲に流す所のものなり。"

14:25 まことに汝らに告ぐ、神の國にて新しきものを飮む日までは、われ葡萄の果より成るものを飮まじ』"

14:26 かれら讃美をうたひて後、オリブ山に出でゆく。"

14:27 イエス弟子たちに言ひ給ふ『なんぢら皆 躓かん、それは「われ牧羊者を打たん、さらば羊 散るべし」と録されたるなり。"

14:28 されど我よみがへりて後、なんぢらに先だちてガリラヤに往かん』"

14:29 時にペテロ、イエスに言ふ『假令みな躓くとも、我は然らじ』"

14:30 イエス言ひ給ふ『まことに汝に告ぐ、今日この夜、鷄ふたたび鳴く前に、なんぢ三たび我を否むべし』"

14:31 ペテロ力をこめて言ふ『われ汝とともに死ぬべき事ありとも、汝を否まず』弟子たち皆かく言へり。"

14:32 彼らゲツセマネと名づくる處に到りし時、イエス弟子たちに言ひ給ふ『わが祈る間、ここに座せよ』"

14:33 かくてペテロ、ヤコブ、ヨハネを伴ひゆき、甚く驚き、かつ悲しみ出でて言ひ給ふ"

14:34 『わが心いたく憂ひて死ぬばかりなり、汝ら此處に留りて目を覺しをれ』"

14:35 少し進みゆきて、地に平伏し、若しも得べくば此の時の己より過ぎ往かんことを祈りて言ひ給ふ"

14:36 『アバ父よ、父には能はぬ事なし、此の酒杯を我より取り去り給へ。されど我が意のままを成さんとにあらず、御意のままを成し給へ』"

14:37 來りて、その眠れるを見、ペテロに言ひ給ふ『シモンよ、なんぢ眠るか、一 時も目を覺しをること能はぬか。"

14:38 なんぢら誘惑に陷らぬやう、目を覺しかつ祈れ。實に心は熱すれども肉體よわきなり』"

14:39 再びゆき、同じ言にて祈り給ふ。"

14:40 また來りて彼らの眠れるを見たまふ、是その目いたく疲れたるなり、彼ら何と答ふべきかを知らざりき。"

14:41 三度 來りて言ひたまふ『今は眠りて休め、足れり、時きたれり、視よ、人の子は罪人らの手に付さるるなり。"

14:42 起て、われらは往くべし。視よ、我を賣る者ちかづけり』"

14:43 なほ語りゐ給ふほどに、十二 弟子の一人なるユダ、やがて近づき來る、祭司長・學者・長老らより遣されたる群衆、劍と棒とを持ちて之に伴ふ。"

14:44 イエスを賣るもの、あらかじめ合圖を示して言ふ『わが接吻する者はそれなり、之を捕へて確と引きゆけ』"

14:45 かくて來りて直ちに御許に往き『ラビ』と言ひて接吻したれば、"

14:46 人々イエスに手をかけて捕ふ。"

14:47 傍らに立つ者のひとり、劍を拔き、大 祭司の僕を撃ちて、耳を切り落せり。"

14:48 イエス人々に對ひて言ひ給ふ『なんぢら強盜にむかふ如く、劍と棒とを持ち、我を捕へんとて出で來るか。"

14:49 我は日々なんぢらと偕に宮にありて教へたりしに、我を執へざりき、されど是は聖書の言の成就せん爲なり』"

14:50 其のとき弟子みなイエスを棄てて逃げ去る。"

14:51 ある若者、素肌に亞麻 布を纏ひて、イエスに從ひたりしに、人々これを捕へければ、"

14:52 亞麻 布を棄て裸にて逃げ去れり。"

14:53 人々イエスを大 祭司の許に曳き往きたれば、祭司長・長老・學者ら皆あつまる。"

14:54 ペテロ遠く離れてイエスに從ひ、大 祭司の中庭まで入り、下役どもと共に坐して火に煖まりゐたり。"

14:55 さて祭司長ら及び全 議會、イエスを死に定めんとて、證據を求むれども得ず。"

14:56 それはイエスに對して僞證する者 多くあれども、其の證據あはざりしなり。"

14:57 遂に或 者ども起ちて僞證して言ふ"

14:58 『われら此の人の「われは手にて造りたる此の宮を毀ち、手にて造らぬ他の宮を三日にて建つべし」と云へるを聞けり』"

14:59 然れど尚この證據もあはざりき。"

14:60 ここに大 祭司、中に立ちイエスに問ひて言ふ『なんぢ何をも答へぬか、此の人々の立つる證據は如何に』"

14:61 されどイエス默して何をも答へ給はず。大 祭司ふたたび問ひて言ふ『なんぢは頌むべきものの子キリストなるか』"

14:62 イエス言ひ給ふ『われは夫なり、汝ら、人の子の全能者の右に坐し、天の雲の中にありて來るを見ん』"

14:63 此のとき大 祭司おのが衣を裂きて言ふ『なんぞ他に證人を求めん。"

14:64 なんぢら此の瀆言を聞けり、如何に思ふか』かれら擧りてイエスを死に當るべきものと定む。"

14:65 而して或 者どもはイエスに唾し、又その顏を蔽ひ、拳にて搏ちなど爲始めて言ふ『預言せよ』下役どもイエスを受け、手掌にてうてり。"

14:66 ペテロ下にて中庭にをりしに、大 祭司の婢女の一人きたりて、"

14:67 ペテロの火に煖まりをるを見、これに目を注めて『汝もかのナザレ人イエスと偕に居たり』と言ふ。"

14:68 ペテロ肯はずして『われは汝の言ふことを知らず、又その意をも悟らず』と言ひて庭 口に出でたり。"

14:69 婢女かれを見て、また傍らに立つ者どもに『この人はかの黨與なり』と言ひ出でしに、"

14:70 ペテロ重ねて肯はず、暫くしてまた傍らに立つ者どもペテロに言ふ『なんぢは慥にかの黨與なり、汝もガリラヤ人なり』"

14:71 此の時ペテロ盟ひかつ誓ひて『われは汝らの言ふ其の人を知らず』と言ひ出づ。"

14:72 その折しも、また鷄なきぬ。ペテロ『にはとり二度なく前に、なんぢ三度われを否まん』とイエスの言ひ給ひし御言を思ひいだし、思ひ反して泣きたり。"